いつのまにか洗濯に使う木製の道具はブリキやプラスチック製に変化し、60年代に入ると電気洗濯機が登場し、現在ではボタン一つで注水から脱水までやってくれる全自動の洗濯機に変わってしまいました。人々の暮らしが利便性機能性を追求し、多くの恩恵を受けてきた反面 、多くの「モノ」が失われ、なくなっていきました。
 特に、1980年代後半からの高度情報社会に入り、マスメディアの急速な発達は我々の日常生活の変化に多大な影響を与えてきた感があります。テレビや映画など様々な情報媒体を通 して、色々な情報が中央から地方に毎日昼夜を問わず流れ、地方にいてもいつでも中央の最新の情報が入手できるようになりました。その結果 どこの地方にいっても、中央で流行しているものと同じ様な物質文化が波及し、均質的な生活文化となり、昔から伝統的に継承されてきた個性豊かな地域の文化=郷土が失われようとしています。
  21世紀を目前にして、我々の周囲の生活環境・技術環境もこれまで以上に急速かつ急激に様変りしています。先人達が残してきた遺産、すなわち郷土に収集されている民俗資料の数々、それらは決して「美しい」、「由緒のある」ものではありませんが、地域に住む人の生活文化の変遷、ひいては日本人の生活文化の変遷を物語る貴重な資料です。今一度数土の民俗資料に光りをあて、先人が残した知恵や経験を学び、現代の私達の足下(あしもと)を見直す時期が来たのではないでしょうか。